LYFUK STORY

“詰まらない排水管”を目指して。
高機能排水システム開発、始動。

ライフクの加工・製造部門は、メーカーのように研究・開発して製品を大量に作るのではなく、お客様のご要望にあわせて多品種小ロットで資材を加工・製造しています。そのため、私たちの仕事は基本的にはお客様からのご依頼ありきです。ただし、創業以来、長年携わってきた橋梁の排水については思うところがあり、某大学との共同研究を行ったことがあります。

社内初の開発部門を立ち上げ。

長年、橋梁の排水設備工事に携わってきたライフクは、排水の問題点として「排水管が詰まる」という声を聞くことが多く、ずっと気にかけてきました。そこで、会社として“ものづくりに力を入れよう”というタイミングで、「詰まらない排水管」の開発計画を立ち上げ、社内で開発専任者を2名選出。起業や第二の創業、開発などを試みる企業が入居できる「クリエイション・コア名古屋」に部屋を借りて動き始めたのです。しかし、試作してはみるものの何をもって正解とすべきかわからず、最初は思うように開発が進みませんでした。

当時について、開発専任者の一人であった大脇は「絶対に目標を達成しようと意気込んでいたものの、何から取り組めばよいかわからず不安な気持ちもありました。売り上げに直結しない焦りもありました」と語っています。そんな時に「クリエイション・コア名古屋」の管理人からアドバイスをいただき、某大学に飛び込みで相談へ。水工学専攻の先生をご紹介いただき、大学との共同研究がスタートしました。

煮詰まっていた開発が、
共同研究でスムーズに流れ出す。

共同研究をしていく中で、開発するモノ自体が「詰まらない排水管」から「高機能排水システム」へと変わりました。どこか一か所を変えるだけで“詰まらない”が叶うものではないため、排水に関わるパーツを一つ一つ機能改良して、全体的に水が流れやすい仕組みをつくろうと決まったのです。実際に開発を進めたのは、雨水を集める排水桝、排水桝に集まってきた水を橋梁の下部まで導く排水管、その排水管を支える支持金具であり、その中でも共同研究によってつくられたのは「ベルマウス型の排水桝」です。某大学の先生が加わったことで、必要な水理学の知識を始めとした強力なサポートを得られ、開発の道筋が一気に見えてきました。

ライフク社内に設置されていた縮尺の実験装置の一部。

試作実験や学会発表などの経験、
共同研究で得た知識が財産に。

排水桝について、とにかくいろんな形を作って水を流そうと某大学の先生と形状試案をして、いくつかの試作品を用意して実際の排水路を模倣した縮尺サイズの実験装置を作成し、排水流量を計測する実験を行いました。そして、実験の中で単位秒あたり最も排水量が多かったのが、ベルマウス形状のものでした。その後の考察で、流れが異物に当たった時に発生する渦が排水桝の流れを悪くしていることに気づき、角がなく緩やかにカーブしたベルマウス形状の流れがもっともよかったという証明として結論付けました。この縮尺での実験結果については、流体力学などに使われる「フルード係数」を用いて実物大の数値に換算し、土木学会での発表も行っています。これまで具体的な案件のための製品改良や開発は経験がありましたが、自発的な研究や開発、ましてや学会での発表など、ライフク史上初の試みでした。このほか複数のパーツを改良して特許も取得し、着実に「高機能排水システム」の開発を進めていたところへ、高速道路の全面改修の話が入ってきたのです。

右がベルマウス型排水桝。受け口の緩やかなカーブがポイント。

共同研究による成果が実り、
高速道路の長寿命化に貢献。

高速道路の全面改修の目的は、持続可能な開発目標(SDGs)のひとつ「住み続けられるまちづくり」にも関わる、高速道路の長寿命化です。さっそく「高機能排水システム」を提案しようと、高速道路の図面をうちのパーツで描き換えて提案することになりました。自社内の実験装置も見ていただき、配管合流角度を調整して流れやすくすることや、配管上流部のエルボ、配管流末部のチーズ管などポイントによっては製品の提案も入れながら流量の比較実験結果を伝え、「どうしたら高速道路の排水がスムーズになるのか」を徹底的に説明。その結果、高速道路の排水工事はかなりのシェアをお任せいただくことが出来ました。これは、「高機能排水システム」を作ろうと開発を進めてきた各パーツや、共同研究で得た知識、実験結果があってこその成果でした。

“詰まらない排水管”を目指し、高機能排水システムは現在もパーツごとに改良を進める計画が持ち上がっています。このような自社研究・開発はライフクには異例のことですが、今後も現場のニーズをものづくりに反映しながら、排水の問題に悩むお客様や世の中に貢献していきたいと考えています。

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